上江洲正美行政書士事務所 | ひな形の知りたい！

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私は、那覇市役所に約３７年間勤務した後、定年退職しました。市役所の仕事というものは、主に市民から申請、届出がされた文書類を審査する業務が多いので、完成された文書を見ることが多く、作成の過程を知る機会は多くはありません。

　このように完成された文書類を見ていることから、それを作成することが困難な方にはあまり思い至りませんでした。もちろん、簡略化できればそれに越してことはありませんが、法令上そうしなくてはならないことが多く、現実的には難しい面があるのです。

　今回行政書士業務を行うことになり、何度が文書類の作成を依頼されて感じたことは、世の中には、書類とか文書とかの作成が苦手な人やそれをする時間がない人がかなりいるということです。

　今の社会のシステムでは、何をするにもまず文書を作成して行政等に提出するという段取りになるわけですが、それができないということになります。これは、本来的には自分が行おうとする権利や能力があるにもかかわらず、それとは直接関連がない別の手段が不得手なために、実行できないということになるのです。

　このようなときに、せっかく多くの人が集まって社会を形成しているわけですから、そのなかの誰かが、それを代行したり補助してくれたら、世の中はもっと暮らしやすくなると思います。そして、それこそがいわゆるまちの法律家である行政書士ではないかと考えるのです。

　行政書士倫理要綱の一節に、「行政書士は、国民の権利を擁護するとともに、義務の履行に寄与する。」というものがあります。先ほども述べました通り、何をするにもまず文書類の作成が必要であることから、国民の権利の擁護の具体的なもの一つとして、文書類の作成の代行、補助があると考えるものであります。

　なお、行政書士は、業務の対価として報酬をいただいているわけですから、特に礼などはいらないはずですが、わざわざ電話をしてきて「助かりましたありがとう。」などと言われることがあります。その際には望外の喜びとともに、もっと多くの方の力になれるよう、なお一層の研鑚に努めたいと思うものであります。